石川県の旅(ものづくりに思いを馳せた徒然メモ)

最近、日本ではものが売れないと言われている。売れている企業はあるかもしれないが、耐久消費財(電化製品、家具、自動車/自転車、家等)は、消費が一巡したとか、3.11以降の価値観の変化とか、インターネットの発達とかで、ものが売れなくなる要因はたくさんありそうな気がする。

義理の父母の還暦祝いということで石川県は加賀屋に宿泊し、輪島も訪れた。加賀友禅九谷焼、輪島塗を見てきた。パティシエの辻口博啓氏の美術館も訪れた。最近、絵を本格的に学んでみたいと思っていることもあるのかもしれないが、改めて(人生で初めて)「ものづくり」に思いを馳せた。

義理の母が語る加賀友禅の制作方法、九谷焼きの凛とした輪郭、モダンな色使い。とてもきれいだった。
kagaya01kagaya02kagaya03
輪島では63人の職人が11ヶ月かけてつくった20数メートルの見事な輪島塗のパネルがあった。ある輪島塗商曰く、輪島塗は完全分業制で、たまたま目の前にあった器は最低7人の職人が関わっているという。そして、各職人は組織だって器を制作しているのかと尋ねるとそういう訳ではないそうだ。プロジェクトごとのネットワーク型の働き方なのだろうか。また、ある輪島塗店の店番をしていた女の子は漆塗りを学ぶ2年コースの2年目だそうだ。伝統的な職人技術はある師匠から直々に学ぶものかと思っていたら、学校があるのかと意外だった。

輪島の朝市通りという目抜き通りには日曜というのに、人通りが少なく、輪島塗の店も思ったより少なかった。全盛期に比べれば、生産量も落ちているし、担い手も少なくなっているのだろうか。正確なところは分からないけど。

一方、DIYの機運やそれを取り囲む環境が変わり、ものづくりがドンドン身近になっている。ものは売れなくなっているのに、ものをつくりたい人はドンドン増えている気がする。「もの」そのものより、「もの」との関わり方や、「もの」を通しての繋がりに、ぼくらは今、切実な何かを感じているのだろうか。