東急電鉄の有価証券報告書(12/3期)を見て

都市生活を考える上での「ハードのインフラ」。それを構成するひとつが「交通」でしょう。今日は、ぼくの地元の交通はもちろんのこと、住宅そして小売物流を支える東急電鉄有価証券報告書を見てみました。
ちなみに、東急電鉄グループは「共創の場」であるカタリストBA(11/4月オープン)があるニコタマのライズ、「コワーキングスペース」であるCreative lounge MOVがある渋谷のヒカリエ(12/4月オープン)などの話題の施設をオープンさせ、「これからの都市生活」を想像させる企業という意味でも注目しています。

tokyu
分析のメモ

交通、不動産、リテールの3本柱

事業は、鉄道を含む交通事業だけでなく、不動産、リテール、レジャー・サービス、ホテル、その他(建設事業等)の6区分のセグメントの事業を展開している。11/3期、12/3期の連結売上高は1兆円程度、営業利益は600億円弱で推移している。なお、交通、不動産、リテールで売上高の8割、営業利益の9割を占めている。

投資CFを営業CFで賄う財務状況

総資産(12/3:2兆円)のうち、有形固定資産が1.4兆円、運転資本が0.1兆円であり、資金調達は社債/銀行借入で1兆円行っている財務構造である。一方、11/3期、12/3期と投資CFは1,000億円以上行っているが、係る資金は営業CF(1,000億円以上)から賄えている。なお、財務CFは△1億円程度で推移しており、外部調達資金については返済フェーズと推察される。

「人の営み」に影響を与える事業

東急電鉄は鉄道、不動産、リテールの3本柱で、ライフスタイルの変化を促す役割を果たしているかもしれない。その試みが、冒頭に書いたカタリストBAやCreative lounge MOVの開設だと思う。
これらは東急電鉄を単なる装置事業に留まらず、そこにいる「人や人の営み」を活性化する事業に押し上げているし、特筆すべきは、東急電鉄だけでその場作りを完結していないところかもしれない。
「これからの都市生活」を考える上で、「人」から始まるプロジェクトを支援する視点、大企業と小規模なネットワークとの生態系、コミュニティはとても大事なテーマですよね。