【らしくあるための憲法】第1条:ぼくらは、ぼくららしくあるようにできている

「これ、こないだうちの押し入れから見つけたんだ。」

右手には、薄汚れた大学ノート。

「なんだよ、それ」

ほこりを払うと表紙にはマジックで『らしくあるための憲法』と書かれている。

「見てみようぜ」

ふたりで、そーっと開いてみると、

第1条:ぼくらは、ぼくららしくあるようにできている

と紙が少し茶色がかったノートに、殴り書きの文字が並んでいた。

「ボクララシク?なんだろう…」

そのすぐ下には、いくつか箇条書きで文字が並んでいる。

【第1条の解説】

  • 「らしさ」というのは自分を発揮していること。
  • 言い換えると、いまここに溶け込む、健康的で創造的な状態のこと。
  • らしくあるとき、世界はひとつに繋がっていて、世界は安全な場所だと気付くことができる。
  • らしさは自分に尋ねると分かることもあるし、結果としてふと手の平に舞い降りることもある。
  • 今のテクノロジーと価値観の潮流は、らしさを発揮できる可能性の拡がりとらしさを発揮する必要性の訴えの両方を示している。
  • ただし、この憲法を読んだところで、あなたはあなたらしくなんて、なれないぜ?ロッケンロール


第1条の文章に目を通すと、ふたりは顔を見合わせた。

「なんだこれ。ロッケンロールって、内田裕也かよ。」

そして、ふたりがページをめくろうとしたとき、強い強い風が吹いた。

飛ばされないように身を丸くしたふたりがふと目を開けると、手元にあったノートがすっかり消えてなくなっていた。

「らしさって、なんだろう?」