自由大学『島で暮らす』を受講した
先日の3連休の土日9月15日、16日に自由大学の『島で暮らす』というクラスに、キュレーターに誘われて受講しました。すごく面白かった。
教授(先生はそう呼ばれている)は、森ルイさんという方で2010年から広島県にある人口8千人ほどの大崎上島に通うようになり、いまでは家を持ち、島のアンテナショップを運営しているそうです。
ユニークなバックグラウンドを持つルイさんの島での実体験の話、ゲストスピーカー(島のパン屋さんやWWOOFで受け入れた外国人)の話、いくつかの問い、そして参加者の方々と対話をした2日間は、色々なインスピレーションが湧く時間になりました。ありがとうございます。
個人的に印象に残ったことをいくつか。
複数というキーワード
配られたレジュメに書いてあった「複数拠点」の文字。この瞬間に、クラスに来てよかったと思った。既に色々なところで話されているし、実際に実践している人もたくさんいるけれど、改めて、一ヶ所に住み、ひとつの会社に勤め、給料をもらい、結果として、それに関するコミュニティの中でだけで生きていくという姿は、たくさんある暮らし方のひとつの選択肢でしかない(いい悪いではなく、暮らし方はひとつではないという意味)。複数拠点、複業、色々な対価、そして、たくさんのコミュニティを自分の生活のものにしながら、生きていく可能性と必要性を感じた。
島にある未来
ルイさんが島で生活をしていく中、向き合っている話。特に個人的に印象に残ったのが、情報の伝わり方、人との関わり方が「島」と「都市」でとても類似してきているのではないかということ。もう少し言うと、「SNS(FBやTwitter、最近で言えばLINE等)」を活用した情報伝播の早さや、シェア生活などが促進していく中でのパブリックとプライベートの捉え方の変化は、「島」の感覚と近くなってきているのではないかと感じました。「これから」を考える上で、島や田舎における生活はとても大きなヒントになる。
安全な場・コミュニティ
「これから」に想像力を働かせるとき、とても人は傷つきやすい状況に陥ると思う。それは、その「これからの話」はとっても突っ込みどころが満載だから。確実に。でも、思い描く「これから」を言葉や絵にして、書いたり話したり、人の話を聞いたりすることで、さらに色々なインスピレーションを得ることができる。だからこそ、傷つかない「安全な場、コミュニティ」というのが大切だと感じる。『島で暮らす』の授業はそんなこれからを考える安全な場であり、コミュニティのひとつだなと感じた次第。
2日間ありがとうございました。11月に実際にみんなで大崎上島にお邪魔しようと計画しています。
群馬県水上(みなかみ)に行ってきた - 観光拠点から生活拠点のひとつへ
今年の6月末に行ったタイ・スリランカ旅行で「これからの都市生活」というキーワードが浮かび上がってきました。そんな中、今回は、東京から車で3時間程度の場所にある温泉とアウトドアで有名な群馬県は水上(みなかみ)を1泊2日で訪れました。縁あって、温泉街にあるホテルでヨガクラスを開催する機会にも恵まれ、素敵な時間を過ごすことができました。
旅の概要
1日目:お昼頃に水上に到着。ランチは地元で有名なそば屋(角弥)。ひがきホテルに到着後、水上を散策。夕方から、ホテルの宴会場をお借りして、ヨガクラス。その後は、夕食&宴。いろいろ、半端ない。
2日目:朝からキャニオニング、お昼はみんなでBBQ。最高の夏の連休の過ごし方という感じ。渋滞にも負けず、帰宅。
ヨガクラスに参加していただいたみなさま、会場提供していたいただいたひがきホテルさん、ありがとうございました。
旅の背景と当初の目的
「ヨガクラスを水上で開催しよう」という話が立ち上がり、今回は準備のような位置づけでした。そのような中、ヨガクラスを開催し、水上温泉、キャニオニングを堪能しました。自然、温泉、ヨガクラスという「健康」をイメージし、水上の楽しみ方の一つを提案するという取り組みはよいアイデアです。ヨガクラスを開いている者からしても、とてもエキサイティングで、実際に今回、試しにやってみてよかったなと感じています。これからも、開催できたら嬉しいです。
地方を訪れる意味合い
ただ一方で、今、地方を訪れる意味合いは、それ(健康や自然のアクティビティを軸にしたレジャー、観光)以上のものではないかと感じています。「これからの都市生活」を考える上で、以下のポイントと関わりがあるように思います。
- 複数の活動拠点を持つ(旅、表現)
- 自然のアクティビティに参加することにより五感を磨く(身体、自然)
- 非日常におかれることによる開かれた対話(旅、共有)
- WS開催等によるプロトタイピング(表現)
- 地元の方々と参加者とのコミュニティ(旅、共有)←特に!
- 建物のリノベーション(表現、ハード)
これらは、従前のレジャーという「観光」という枠にとらわれることなく、都市生活者(と願わくば地元の方々)のライフスタイルの変化の中で、よりよく生きるための可能性/必要性の両面から、都市生活者が何度も訪れたくなる地方を考えるよいきっかけになった気がします。
かなり妄想が入っていますが、そうなったらいいなと思っています。なにより、自分が自然豊かな地方に何度も行く言い訳ができたら、嬉しいです。
エニグモの有価証券報告書(12/1期)を見て
エニグモの2012年6月19日のマザーズ上場承認を受けて、友人が公表された有価証券報告書(1の部)を見たということだったので、ぼくも目を通してみた。いつも仕事で見ている財務諸表とはあまりに異なる数字の作りに驚いた。また、プライベートで財務諸表を見てみるキッカケになった会社でもある。
事業の概要
BUYMA(バイマ)という海外在住のバイヤーから世界中のブランド品を購入できるソーシャルショッピングサイトを運営している。過去に広告事業を行っていたが、11/5月に撤退したとのことである。
業績/財務の状況
現在は12/1期の売上高は9億円、粗利7億円、営業利益は2億円であり、これを従業員40名で回している。粗利率(72%)、営業利益率(24%)、一人当たりの業績(売上高23百万円、粗利16百万円および営業利益5百万円)は一般的な製造業、小売業等と比して高い水準と分析される。
また、12/1の総資産13億円で、そのうち現預金10億円である。外部からの有利子負債(社債、銀行借入)の調達はなく、全て自己資本でビジネスを回している状況である。(上場したことについては色々な見方があると思われる)
CtoCビジネス
エニグモの有報を見て、改めてCtoCのビジネスについて考えた。面白いのは「これからの都市生活」で挙げた「誰でも作り手になり、売り手になる」「人と人の繋がり(コミュニティ)を生む」「モバイル(移動性)」などの論点との整合性だろう。
「バイヤー」はプロフェッショナル(専門家)である必要はなく、また、(ボクはバイマを使ったことがないが)購入者とバイヤー間のやり取りは単なる商品売買を超えたコミュニケーションが生まれていると考えられる。もちろん、特定の店舗などない。
東急電鉄の有価証券報告書(12/3期)を見て
都市生活を考える上での「ハードのインフラ」。それを構成するひとつが「交通」でしょう。今日は、ぼくの地元の交通はもちろんのこと、住宅そして小売物流を支える東急電鉄の有価証券報告書を見てみました。
ちなみに、東急電鉄グループは「共創の場」であるカタリストBA(11/4月オープン)があるニコタマのライズ、「コワーキングスペース」であるCreative lounge MOVがある渋谷のヒカリエ(12/4月オープン)などの話題の施設をオープンさせ、「これからの都市生活」を想像させる企業という意味でも注目しています。
交通、不動産、リテールの3本柱
事業は、鉄道を含む交通事業だけでなく、不動産、リテール、レジャー・サービス、ホテル、その他(建設事業等)の6区分のセグメントの事業を展開している。11/3期、12/3期の連結売上高は1兆円程度、営業利益は600億円弱で推移している。なお、交通、不動産、リテールで売上高の8割、営業利益の9割を占めている。
投資CFを営業CFで賄う財務状況
総資産(12/3:2兆円)のうち、有形固定資産が1.4兆円、運転資本が0.1兆円であり、資金調達は社債/銀行借入で1兆円行っている財務構造である。一方、11/3期、12/3期と投資CFは1,000億円以上行っているが、係る資金は営業CF(1,000億円以上)から賄えている。なお、財務CFは△1億円程度で推移しており、外部調達資金については返済フェーズと推察される。
東京電力の有価証券報告書(12/3期)を見て
2012年6月29日に行われた、首相官邸前の大飯原発再稼働反対を訴える大規模なデモ。旅行に行っている間にFBのウォールに、そのデモを上空から写した写真を見て、衝撃を受けた。後日、そのデモに友人が参加したという話も耳にした。
原発がないにこしたことはないのだけれど、自分の態度を明確に打ち出すことができない。3.12に、インターネットを通じて見た1号機の爆発の恐怖、放射線の恐ろしさをボクはまだ分かっていないということなのだろうか。
原発そのものの話ではないが、去年の震災で被災した福島第一原発を保有する東京電力の有価証券報告書を見てみた。
財務数値に対する震災の影響
連結売上高は11/3期、12/3期と5兆円程度で推移している。その一方で、営業利益は4,000億円(11/3期)から、△2,700億円(12/3期)の赤字に転落し、また、11/3期には1兆円、12/3期には3兆円程度の震災に伴う特別損失を計上した。
一方、BSを見てみると、総資産は14兆円〜15兆円で推移し、その半分は電気事業関連資産(7兆円程度)であり、当該資産を社債/銀行借入で調達している財務構造になっている。また、震災の影響による業績悪化に起因し、12/3期の純資産(8,000億円程度)の総資産比率が5%程度と、前期(11%)と比して悪化している。
東京電力の事業性の不思議
12/3期は福島原発が被災し、柏崎原発も定期点検を行う影響で、全ての原発を停止した状況だった。(全期間かは不明)そのため、火力発電に対する依存が高まった影響で12/3期は営業赤字に転落したとのことである。原発が火力より経済効率性がよいと読み取ることができそうだが、実はそんな単純な話ではない。
というのも、今回の震災で計上した11/3期と12/3期の特別損失(1兆円、3兆円)および今後、追加で発生する可能性のある訴訟費用等も原発の運営コストに含まれるべきものと考えることができる。なお、2期で計上した特別損失4兆円という数字は、震災前の11/3期の純資産3兆円を吹き飛ばす金額である。
この状況を鑑みると、電力事業というのは、実は震災前から経済的にも成り立っていなかったと考えるのは言い過ぎだろうか。
※12/3期の特損3兆円は特別利益「原子力損害賠償支援機構資金交付金」2兆円でカバーされるのかもしれないが、詳細はぼくが分かっていないです。
東京電力とエネルギーの今後
震災の影響により、火力依存の高まりと原発賠償のダブルパンチによる業績悪化を受けて、債務超過の危険性(12/3期の純資産8,000億円、当期純損失8,000億円)があるかもしれない。一方、今後のエネルギー政策のシナリオとして、原発の経済性も、安全性もあまりよろしくない今、火力に依存しながら、自然エネルギーへの移行というのが、一番に想像される。その時に気になるが、以下の点ではないだろうか。
わからないことだらけではありますが、ちょっと考えてみました。
震災直後のブログ記事の一つ
これからの都市との向き合い方(draft)
先日の旅行から帰ってきて「都市」について記事:「タイ、スリランカ旅行(これからの都市生活についての考察)」を書いてみましたが、面白いので、「そもそも、都市ってなんすか?」というところから考えてみました。
都市を構成する4項目
改めて、「都市ってなんだろう?」と考えたときに、4つの項目があると思います。
- ハードのインフラ(建物、交通、エネルギー、インターネット等)
- ソフトのインフラ(政治、法律、金融等)
- 自然(川、海、山、森林等)
- 人と人の営み(産業、教育、地域活動等)
先日書いた記事で「これからの都市で大切なこと」として「身体性が損なわれ過ぎない、人の流入/流出がある、人からプロジェクトが生まれる、コミュニティがある」と挙げてみました。これは、上の枠組みだと「人と人の営み」について書いたのだと思います。
なので、今回は「人と人の営み」を考える上での3つの他要素(ハード、ソフト、自然)との関係、向き合い方について考えてみたいと思います。
「人と人の営み」と他の3つの関係
これから都市生活をしていく上で、ポイントになる姿勢というか雰囲気を整理してみたいと思います。前提となっているのは、経済行き詰まり、オタキング的に言えば「もの不足、時間余り」の時代、個人のらしさを尊重。十分にインフラは整ってますよという都市です。
1.「ハード」との向き合い方
- 基本、新しいものをつくらない(リノベート)
- 個を支援するガジェット(ノマド的な)
- ひとつのものを複数の目的で使う
2.「ソフト」との向き合い方
- ソーシャル化、積み上げ方式(お上の一方的な統制のみでは機能しない)
- 誰でも作り手、先生になれる。(DIY的な雰囲気)
- 多言語、多文化とローカルの融合
タイ、スリランカ旅行(これからの都市生活についての考察)
6/22(金)から7/2(月)までの11日間でタイ(バンコク)とスリランカに行ってきました。特にタイでは駐在している友人たちにお世話になりました。本当にありがとう!楽しい旅になりました。
ということで、新婚旅行だったにも関わらず、今回も旅を通して感じたことをまとめてみます。この旅では「これからの都市生活って?(クリエイティブシティとは?)」というお題をもらった気がしました。
旅の概要
バンコク(1):1泊、スリランカ:5泊、バンコク(2):2泊という行程。飛行機泊が2日ほど。バンコクでは駐在している友人宅にお世話になり、スリランカは内陸のダンブッラ、南端のタンガッラという田舎町に滞在。
都市の風景とそこにいる人
【同じ顔をした違う都市:バンコク(1)】
バンコクは、まだ大きなホテルやマンションを建設している光景が見られるとは言え、東京のような都市の顔。一方で、日本の高度成長期のような「経済推し」の雰囲気に包まれているバンコク。(今の)東京と同じ顔をしているのに中身が全然違うという違和感。
これからの都市生活
旅行中3枚の水彩画を描きました。
絵を描くことで、よく観ることが訓練される。それは創造性を回復する取り組みのひとつです。なんていうことは、また別の機会に。
先進国の都市はもちろん、途上国(タイは途上国じゃないか)の都市も、インフラ(電気ガス水道)、建物、交通、金融、制度などなど色々な要素が整備され、同じ顔になっていく。一方で、それが完全な幸せをもたらすとは限らないことが分かってきた。そんな今、これからの都市生活ってどうなるんだろう?、クリエイティブシティとは?と考えるときに大切だと思うことを挙げてみました。
- 身体性が損なわれすぎないこと(ウェブの発達、浸透はもちろん大前提だから。自然が近いことも大切かもしれない)
- 人の流入/流出があること(ノマド的な。)
- 人からプロジェクトが生まれること(算盤やコーポレートからではなく)
- コミュニティがあること(家族、地域、会社という完全に安定的な繋がりだけでなく。多くのコミュニティに属しながらバランスを取っていく)
これは、わくわくするような可能性と、生きていくための切実な必要性の二つの側面で語られることだと思う。
今の活動とこれから
なんでヨガクラスを開くのか?今回の記事はshapes yoga communityがヨガスタジオでないところでクラスを開いている背景のひとつかもしれません。
より多くの都市を見たり、そこに住む人が何を感じて、何に取り組んでいるのかを知り、そして、なによりヨガクラスを開いたりしたいなと感じました。有意義な旅でした。ありがとうございます。
バンコクのルンピニ公園でのヨガクラス